2021年08月25日

静止摩擦、動摩擦

機関車の動輪で、スリップしていない状態では静止摩擦が働き、スリップし出すと動摩擦となるとされています。
そして、静止摩擦の力は、動摩擦の力よりも大きいということになっていますが、具体的に静止摩擦は動摩擦の何倍なのかということを示したデータを見たことがありません。
そこで、静止摩擦と動摩擦のテストを行ってみました。
やり方としては、牽引力測定器を固定しておき、機関車に加える電圧を徐々に上げていき、連続的に牽引力を測定しています。
結果は以下の通りです。
C53牽引力電圧推移2.png
データのばらつきを考え、10回分のテスト結果のグラフを示します。
測定結果では、静止摩擦から動摩擦になった瞬間はほとんど分かりません。
4回目と5回目の測定で、スリップする直線あたりにピークがあるのが静止摩擦の最大となったところでしょうか。
それ以外はスリップ前後で牽引力が変わっているようには見えません。
静止摩擦の部分は、電圧に比例して牽引力が上がって欲しいところですが、安定しないようです。
実は四半世紀ほど前にも同じようなデータを取得していて、この時も静止摩擦から動摩擦に変わるところがほとんど分かりませんでした。

このデータでは、最大牽引力は80gf以下ですが、以前に取得した牽引力の結果では、約110gfとなっていました。
この差は何か確認してみたところ、理由は先台車にありました。
今回は、先台車を安定させるため、強めのばねを入れていたのですが、これが災いして牽引力が低下したわけです。
先台車を外した結果が、下記です。
C53牽引力電圧推移3.png最大牽引力で130gf位になっています。
先台車を押えるばねの影響が結構大きいことが分かりました。
先台車の安定性と、牽引力との兼ね合いで先台車を押えるばねの強さを調整する必要があるようです。

posted by よしひろ at 21:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 蒸気機関車製作