2022年02月27日

牽引力測定と誤差

先日のC11の動輪を円弧踏面にする件で、牽引力がかなり大きくなりましたので、C53の動輪も円弧踏面にして牽引力を測定してみました。
結果としては、従来の踏面よりも牽引力は大きくなるようです。
C53円弧踏面牽引力.png
牽引力の測定結果です。
前回同様、電圧を徐々に上げていった時の牽引力です。
円錐踏面は、前回のC53の従来の動輪の牽引力データです。
参考のためC11の円筒踏面の牽引力を今回測定した値と前回の値を並記しています。
この程度の測定誤差があります。
C53の円弧踏面の結果がいくつかあるのは、下記に示す測定誤差への対応です。
結果としては、従来の踏面と比べて、1.6倍程度の牽引力が期待できそうです。
ゴムタイヤを入れた場合は過去の測定から金属タイヤと比べて牽引力が1.8倍位になりますので、それには及びませんが、牽引力向上には有効な手段と思われます。
できるだけ測定を均質化するため、測定の度に線路上の機関車の位置をずらすようにしました。
C53円弧踏面最大牽引力.png
今回データを取り始めて、データ取得毎で最大牽引力に大きな差がでました。
特に7〜9回目の値はかなり小さくなっています。(それでも従来の踏面での値よりは小さくない)
原因は色々な条件が重なっていると考え、50回データを取得し、平均を求めることとしました。
また、試験を実施すると踏面に影響が出ていることが確認されたため、後半は三回に一回踏面を研磨しました。
踏面を研磨した直後は最大牽引力が小さくなるので、踏面研磨直後の牽引力のみを平均しグラフにしてあります。
牽引力測定後C53踏面.jpg
試験後の踏面です。
試験でかなりの時間をスリップさせているのでレールに当たっている部分が削れてしまっています。
この踏面の削れも、牽引力の測定誤差に影響していると思います。
結果として、従来の1.6倍程度の牽引力が得られましたが、どのような理由によるものかがよく分かりません。
過去に測定した牽引力のデータによると、ほぼ、動輪上重量の18〜20%程度が牽引力でした。
これは、レールと動輪の摩擦係数が18%程度と考えるのが妥当と思われます。
今回の場合は、500gの機関車で、150gf程度の牽引力が出ていますので、動輪上重量の約30%ということになります。
摩擦係数としては大きすぎます。
円弧踏面の場合、レールと踏面の接する角度が大きいためではないかと推測しているのですが、過去に測定したデータでは踏面角を大きくしても摩擦係数はあまり変わらないという結論でした。
理論的になぜこのような結果になるのか、私はちゃんと説明することができません。
どなかた、詳しい方がいらっしゃいましたら、理論解説をいただけないでしょうか。
posted by よしひろ at 22:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 輪軸

2022年02月20日

動輪踏面と牽引力

C11の動輪踏面の加工ができましたので、キットの動輪(踏面角0°)との牽引力を比較してみました。
C11の重量は約255gで、動輪のみを取り替えて測定しています。
測定の線路は平坦にしたかったのですが、部屋の床の微妙な傾きの関係上、0.1°傾いています。(誤差程度と認識しています)
C11頭面違い牽引力.png
驚くような結果となりました。
グラフのデータは、電圧を徐々に上げていった時の牽引力です。
測定データには誤差がありますので3〜5回測定し、平均した値でグラフにしてあります。
(1)C11の牽引力が異常に強い
参考までにC53の牽引力も今回同時に測定し、今までとほぼ同じでした。
C11の重量はC53の約半分ですので、牽引力も約半分と想定していたのですが、信じられないような値が出ました。
(2)踏面のめっき
元のC11の動輪の踏面は黒ニッケルめっきが施されています。
今回加工した動輪にも薄く黒ニッケルめっきを施しましたが、できるだけ対等な比較になるようにどちらの踏面も2000番のサンドペーパでめっきを除去して測定しました。
元の動輪の踏面のめっき有無で牽引力に差が認められます。
(3)踏面形状による牽引力の違い
これが今回の主目的ですが元の踏面角0°と円弧踏面とで想定以上の差が出ました。
あまりにも牽引力が出過ぎたせいか、動輪の抜き差しを何度かしたせいか分かりませんが、踏面を切削した第2動輪が測定中に車軸から抜けてしまいました。
(4)静止摩擦から動摩擦への変化点
牽引力のデータではあまりよく分からないのですが、測定中の電流の変化を見ていたところ、スリップし出すところで電流が減ります。
C11の踏面0°の場合、約130mA流れていたものが約90mAに減少しました。モータの電流はトルクに比例するはずなので、静止摩擦は動摩擦の約1.4倍位あるのかなと推測されます。
(5)消費電流
12V印加時の電流は、C11踏面0°:約130mA、C11円弧踏面:約200mA、C53:約50mAでした。
モータはC11:IMONコアレス:トルク定数11.8 mNm/A、C53:maxon RE-16:トルク定数13.9mNm/Aです。
トルク定数はほとんど変わらないのですが、牽引力あたりの電流はC53の方が圧倒的に少なくなっています。
すなわち、C53の方が伝達効率に優れていると言えると思います。

今回の測定結果が幻で無ければ、このC11の牽引力の秘密を解析できれば、機関車の重量をあまり増やさずに強力な機関車が作れるかもしれません。

posted by よしひろ at 23:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 輪軸

2022年02月11日

C11動輪

C11の動輪踏面を加工した後、組立治具を作るのに時間がかかってしまいました。
動輪踏面加工.jpg
円弧踏面に加工したC11の動輪です。
第2動輪の歯車は、C53と同じく動輪側から回せるものに入れ替えてあります。
この写真ではウォームホイールの横にちょっとだけ写っていますが、ギアボックスの軸受に砲金を使ってみました。
たまたま、燐青銅棒が無くて砲金棒があったので使用した次第です。
元のMolelsIMONのは真鍮製でした。
加工の際にめっきが剥げたりしたので、最終的には再めっきをしたいと思っています。
 動輪圧入治具.jpg
動輪の圧入および位相合わせ治具です。
C53のと似たようなものですが、動輪のタイヤ外面よりバランスウェイトが出っ張っていたり、クランクピンのねじ部がさらに出っ張っているので、その辺を避けるための加工が面倒でした。
 圧入.jpg
動輪圧入の様子です。
C53ではエキセンプレスを使用しましたが、今回は1輛のみなので、旋盤を使用しました。(芯合わせや位相の調整がしやすい)
なお、写真は撮影用に内側の治具を外してあります。
タグ:車輪 輪軸 踏面
posted by よしひろ at 21:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 蒸気機関車製作

2022年02月06日

C11組立

京都の山科あたりで超特急 燕の後補機をしていたC11を作ろうと、ModelsIMONのキットを組立始めました。
以前にも書きましたが、MoldelsIMONのC11の動輪の踏面角は0°となっていますが、私は気に入らないので、踏面を加工することにしました。
C11.png
2016年2月14日のblogに提示したグラフです。
C11の第2動輪だけをモータで回転させての牽引力測定結果です。
電圧を徐々に上げていった時の牽引力です。
この測定が正しければ、踏面角0°では牽引力が2割程度弱いことになります。

なお、MoldelIMONの公式見解では、踏面角0°の方が牽引力が向上するということになっていると思います。(どのように検証されたのかは存じません)
 C11動輪.jpg
ModelsIMONのC11キットの動輪と、組み立てた主台枠です。
写真ではよく分からないかもしれませんが、踏面角は0°(レール上面と水平)になっています。
踏面切削.jpg
以前にC11第2動輪の踏面を切削した際に使用したヤトイで今回も切削しています。
動輪が切削の圧力で振動しないように両側から押さえつけ、総型バイトで切削しています。
総型バイトを使う場合は、ビビりやすいので、少しずつ削っています。

動輪は軸から外してありますので、位相を合わせて車軸を圧入する必要があります。
 踏面角.jpg
 これは、かなり以前に私の所属するクラブの人が本人の自作の機関車用にNCで踏面角0°と3°の動輪を作ってくださり、入れ替えて牽引力を測定したものです。
これも電圧を徐々に上げていった時の牽引力ですが、電圧を上げきった後はしばらくスリップさせて測定したと思います。
この時も踏面角0°では牽引力が2割程度弱いという結果でした。
この実験をする前は、踏面角0°はレールとの接触点が多いため、牽引力が強いと考えていたのですが、私の浅はかな考えは覆されてしまいました。

この結果に対し、誰かが言っていたような気がするのですが、踏面角0°の車輪の精度が悪いからこのような結果になったのではないかと。
プロの方が自らNC加工機を使用して作った車輪ですので、精度には問題は無いと思っています。
posted by よしひろ at 21:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 蒸気機関車製作