2022年06月23日

ウォームギアの効率

私の手元にある蒸気機関車の駆動系の効率を測定してみました。
効率は入力エネルギーと出力エネルギーの比ですので、機関車に負荷をかけながら走らせ、その時の負荷、速度、電圧、電流を測定し、算出するのが正しいと思います。
この場合は、歯車だけではなくモータの出力効率も影響するので低めに出ると推測されます。

当方でそれら全ての値を同時に測定できる環境が揃っていないので、簡易的な測定としました。
  • 牽引力測定車を動かないようにし、機関車で引っ張った時の牽引力、電圧、電流を測定
  • モータのトルク定数と電流から、モータの出力トルクを計算
  • 計測された牽引力から動輪径で動輪のトルクを計算
  • モータの出力トルクを減速比倍したもの動輪のトルクとの比を高率とする
ということにしました。
なので、厳密には効率を測ったのではないのかもしれません。
また、測定値は刻々と変化しますが、計測器の測定値を算術平均したのではなく、表示された値を見てほぼ平均かなと思われる値を使用しています。
モータのトルク定数もカタログ値からの値ですので、モータ個々の誤差はそれなりにあると思われます。
そのため、測定精度は高くありません。

結果としては、
C11(動輪から回転可能な1条ウォーム付):35%前後
C11(ModelsIMONキット付属の歯車):10%前後
C53(動輪から回転可能な1条ウォーム付):35%前後
でした。

測定値は以下の通りです。
C11(動輪から回転可能な1条ウォーム付)
減速比23:1
maxon DCX12モータ使用 トルク定数:125.4gf-cm/A
印加電圧(V)電流(mA)牽引力(gf)
動輪の換算トルク
(gf-cm)
モータの出力トルク
減速比倍(gf-cm)
効率(%)
3625951.5178.829
6637363.8181.735
9617868.1175.939
12637868.1181.737

C11(ModelIMONキット付属歯車)
減速比30:1
IMON 1616モータ使用 トルク定数:124.4gf-cm/A
印加電圧(V)電流(mA)牽引力(gf)
動輪の換算トルク
(gf-cm)
モータの出力トルク
減速比倍(gf-cm)
効率(%)
3955043.7354.512
61205043.7447.810
91356052.4503.810
121506355.0559.810

C53(動輪から回転可能な1条ウォーム付)
減速比23:1
maxon RE16モータ使用 トルク定数:141.7gf-cm/A
印加電圧(V)電流(mA)牽引力(gf)
動輪の換算トルク
(gf-cm)
モータの出力トルク
減速比倍(gf-cm)
効率(%)
3657070211.833
685100100277.036
985105105277.038
1285105105277.038
タグ:測定 歯車
posted by よしひろ at 17:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 蒸気機関車製作

2022年06月14日

カプリング

モータと歯車(ウォームギア)を繋ぐカプリングで、面白そうなものがあったので使用してみました。
継手のところにボールが入っていて伸び縮みもするものです。
今回使用したのは、MBDB4という型番のもので、外径4mm、長さ19mmの工業用としては非常に小さな物です。
このカプリングのシャフト取付部はM2.0のねじが切ってあり、Φ1.5のシャフトに取付けるのには難儀しました。
最初はM2.0とΦ1.5の変換アダプタを作ろうとしたのですが、ダイスで切ったM2.0のねじ底径がほぼΦ1.5近いせいか、あるいは若干曲がってねじが切れているせいか、ねじを切った後にΦ1.4の穴を開け、Φ1.5のリーマを通すとねじが折れてしまいました。
何度か挑戦したのですが、結局作ることはできませんでした。
カプリングばらばら.jpg
次に挑戦したのは、カプリングのM2.0をΦ2.0穴に加工することです。
穴加工はできたのですが、奥に入った切粉が取れず、超音波洗浄しても充分には取れず、カプリングのグリスが取れ、奥にある切粉を取ろうと色々触っているうちにばらばらになってしまいました。
ボールは片側4個ずつ入っています。
こうなってしまうと元には戻せません。
アダプタ.jpg
カプリング本体に手を付けないでアダプタを作製するために、M2.0の内径に入る外径Φ1.56、内径Φ1.5のものをSUS303で作製しました。
Φ1.56の部分は非常に薄いので指で押えると歪んでしまいます。
一応、穴の中にシャフトが入るので、心配ではありますが強度は大丈夫かなと思っています。
これを嫌気性接着剤でカプリングの穴に接着しました。
カプリング.jpg
機関車に取付けた状態です。
向こう側の黒いものが、前に付けていたカプリングです。
カプリングのウォーム側が細くなっているのは、台枠の部品との接触を避けるためです。
アダプタの精度の問題か、モータを回すとカプリングが若干振れているように見えるのですが、カプリング自体にガタはほとんどなく、スムーズに回ります。
posted by よしひろ at 00:33| Comment(3) | TrackBack(0) | 蒸気機関車製作

2022年06月13日

ロックタイトの劣化2

ロックタイト嫌気性接着剤の件でちょっと調べてみたら、次のことが分かりました。
  • 保管場所は冷蔵庫が適当
ロックタイト601等のテクニカルデータシートには、 最適保管温度8℃-21℃ 8℃以下又は28℃以上で保管すると製品特性に影響を与える恐れがあります。
と書いてあり、この温度を維持するには冷蔵庫に入れるのが最適と思われます。
  • 寿命は24ヶ月
公式に何年持ちますといったことが明示されている資料を見たわけではありませんが、製造後未開封で24ヶ月(2年)が使用期限のようです。
最近のパッケージには期限または製造年月が記載されていますので、これで判断できます。
開封した後はすぐに使ってくださいというのがメーカ側の見解のようです。
何年経っても接着できるのかもしれませんが、接着力が弱くなっていたりしてもメーカは関知しないということになります。
  • 少し温度を上げると接着力が向上する(かもしれない)
ロックタイト648のテクニカルデータシートを見ると22℃よりも40℃で硬化させた方が強度が上がるようです。
601ですと、40℃に上げた方が22℃よりも早く硬化するようです。
  • 分解は250℃で
テクニカルデータシートに公式に「結合部を約250°Cに局部加熱し、熱いうちに分解して下さい。」との記述があります。
ただ、200℃程度まで温度を上げると劣化し、接着力がかなり弱くなるようです。
  • 固まらなくなることがある
私はロックタイト嫌気性接着剤が固まらないという経験が何度もあります。
インターネットで検索すると固まらなくなったという報告はいくつか上がっているので、私だけの経験というわけでもなさそうです。
基本は使用期限内で冷蔵庫等の適度な温度の場所で保管し、開けたらすぐに使い切る。
ということなんでしょうけど、一度に1mlも使わないでしょうから、捨てるのももったいないですし、とりあえず固まるれば、何年経っていても使ってしまいますよね。
瞬間接着剤みたいに2ml入とかのが販売されると良いのですけどね。
posted by よしひろ at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 接着

2022年06月11日

ロックタイトの劣化

dda40x氏のblogやそのコメントに興味深い話が書かれていました。
ロックタイト(嫌気性接着剤のことと思われる)の劣化は、金属粉が入ることの旨が記載されていました。
確かにロックタイト嫌気性接着剤は金属に反応し、空気が遮断されると固まりますのでもっともな話です。
このblogでは、「実際に起きたことなのだろうが、条件がすべて異なるので、参考にはならない。」と書かれているので、私の経験は参考にならないかもしれませんが、一応書いておきます。

私は40年以上前に仕事でロックタイト嫌気性接着剤を使い始め、今は趣味の工作で使用しています。
容器に入ったロックタイト嫌気性接着剤が固まった経験は一度もありません。
尤も、容器の口の部分で残った接着剤が固まったことはあります。
瞬間接着剤は何度も容器の中身全体が固まったことはあります。

仕事で使用している時から経験した不具合は、ロックタイト嫌気性接着剤がいつまでたっても固まらないということです。
何度も経験しています。
いつ、どのようなタイミングで発生するのか、その原因は何なのか一切不明なので、避けることができません。
容器内の接着剤が固まるとかですと事前に不具合が分かりますが、普段と変わりない状態で固まらなくなるというのは困りものです。
ただ、この経験があるのはロックタイト601だけなので、不具合の発生を避けるため、601はなるべく使用しないようにしています。(一応持ってはいます)
私はサイエンティストではありませんので、科学的根拠よりも実際に発生したことを重視しています。

あと、このblogでは、「模型用なら200番台で十分だ。」と書かれていてロックタイトの200番台を推奨されているように見えます。
理由が書かれていないので200番台を薦める意図が不明です。
600番台ははめあいの固着用、200番台はねじの固着用となっていますが、確かに263等の高強度タイプであればはめ合いの接着に使用しても問題はないと思います。
しかし、222の低強度タイプを使用すると割と簡単に外れると思いますので、この書き方で大丈夫なのか疑問が残ります。
私は後で取り外す治具の仮固定にロックタイト222を使用しています。
また、価格は、私が見たところでは、10ml入が263よりも601や648の方が安いのでわざわざ200番台を使う必要があるのか疑問です。

とりあえず、ロックタイト601に金属粉が入るとどうなるのか確認してみました。
半日程度では金属粉の周囲しか固まりませんでしたが、全体的に変色しており、何らかの劣化があると思われます。
601.jpg今回の実験用に新規にロックタイト601の10ml入を購入しました。
金属粉.jpgチャック付ポリ袋に金属粉(主に真鍮)を入れました。
金属粉入601.jpg金属粉の入ったチャック付ポリ袋にロックタイト601を入れ、チャックを閉じました。
金属粉入601半日後.jpg
半日経過したものです。
金属粉の周囲は固まっています。
 金属粉入601半日後2.jpg
チャックを開けて液体を出してみました。
おそらく半分以上は固まらずに液体のままの状態でした。

固まらなかった液体が劣化して固まらなくなっている可能性もあるので、真鍮板同士をくっつけて見ましたが、すぐに接着されました。
 劣化.jpg
左が金属粉が入って固まらなかったところ
右が容器から出したばかりのもの
金属粉が入ったものは半日では全部固まるということはありませんでしたが、全体的に変色していますので、何らかの劣化は発生しているようです。
posted by よしひろ at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 接着

2022年06月09日

牽引力測定車作製4

12mm、16.5mmゲージ用の牽引力測定車ができました。
牽引力測定車4.jpgゲージは異なりますが、計測する内容は変わらず、多少のスケール違いにも依存しないので、台車回り以外はほぼ同じものです。
12mm用は全長は連結器間約22cmで、20m級の1/87より少し短いです。
16.5mm用は台車を避けるためにロードセルを少しずらしてある関係等で5mmほど長くなっています。
連結器はIMONカプラーを使用しています。
電源は単4電池2個直列にしてそのまま供給しています。
当初は5Vに昇圧してUSB経由とか、電池3本で3.3Vに減圧しての電源供給を考えていたのですが、ベースボードの電圧仕様を見ると、3.3V電源の許容範囲が3.0〜3.6Vと少し大きく、電池も(新品では)電圧が1.5Vよりも若干高そうなので、そのまま使うことにしました。
電池ボックスは、ON-OFFスイッチの付いたものを使用しています。
ベースボードには充電可能なリチウムイオンポリマー電池の端子がありますので、乾電池が消耗した際の予備としてこれが使えます。
タグ:測定 牽引力
posted by よしひろ at 09:52| Comment(1) | TrackBack(0) | 電子工作

2022年06月08日

牽引力測定車作製3

とりあえず、16.5mm用の牽引力測定車を組み立てました。

牽引力測定車2.jpg
写真の上側に写っているのはこれまで使用していた12mmゲージの牽引力測定車(無線関係は取り外してあります)、下が今回作製した16.5mmゲージ用の牽引力測定車です。
かなり小型化することができました。
電池を含めた重量は122gです。
これまでのものは無線関係を含めて634gですので、かなりの軽量化です。
今回のものは、牽引力測定車の勾配も測定できるようにしています。
車輛での表示と共にBluetoothにて測定データを送るようにしてあります。(Wifiで端末に測定値を表示するのは面倒だったので実装していません)
牽引力の測定は、無負荷時と50g負荷時を計測してロードセルの校正ができるようにし、リセットした時が0gfということにしてあります。
勾配の方は、ソフトウェアでの校正方法が分からなかったので、物理的に校正してあります。
勾配を測定する加速度/ジャイロセンサセンサの基板の取り付けねじの締め付けをほんの少し変えるだけで勾配の測定値が変わるので、経年変化が心配です。
牽引力測定車の向きを逆にしてもほぼ同じ傾きと測定されるように調整していますが、0.1%の桁は怪しいかもしれません。
これの輪軸を入れ替えれば13mmゲージにも対応できます。
牽引力測定車3.jpg

今回の回路は、極力市販品を利用し、半田付けは床下にある電池ボックスとベースボードとの配線用のコネクタのみです。
ほぼ全てSparkFun社製のボードを使用しており、ベースボードは「SparkFun Thing Plus - ESP32 WROOM (Micro-B) 」というものです。
ソフトウェアもできる限り公開されているライブラリを使用しており、自分で作ったロジックのようなものはあまりありません。
今回作製したスケッチ(ソースプログラム)を添付しておきます。(動作保証はしません)
タグ:測定 牽引力
posted by よしひろ at 13:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 電子工作

2022年06月03日

PWM制御

鉄道模型の速度制御にPWMが使われることが多いのですが、私の持っているPWM制御のコントローラでは、私の機関車はうまく制御できません。
ノッチを少し回すと、ほぼ最高速度になってしまいます。
ゆうえんさんのblogに綺麗なPWMの波形が掲載されているのですが、私の持っているPWM制御のコントローラでも確認してみました。
結論としては、以前からの私の推定通りの結果で、コアレスモータを使用しているとPWMのONとOFF時の電圧の差がほとんど無く、ほんの少しPWMのONがあると、ほぼ最高電圧になってしまうということです。
機関車等には負荷がありますので無負荷でモータを回すのとは違うと思いますが、調子の良い駆動系ではほとんど無負荷に近いと思われるので、PWMでの制御がうまくできないのだと考えます。
RE16PWM.jpgRE16PWM負荷.jpg
これは、maxonのコアレスモータRE16でのPWMの波形です。
左は無負荷時で、PWMのONの期間は全体の数分の一ですが、全体の電圧はほぼ最高電圧になっています。
モータの回転数は、供給電源の平均電圧に比例するため、ほぼ最大回転数となります。
右はモータに負荷をかけてほとんど回っていない時の電圧です。
PWMのONの時だけ電圧が出ています。
SE15PWM.jpgSE15PWM負荷.jpg
 これは、ミネベアのSE15を接続した時のPWMの電圧波形です。
左は無負荷時ですが、コアレスモータと違い、逆起電圧の電圧は低く、PWMのON時とOFF時の電圧がかなり違います。
右はモータに負荷をかけてほとんど回っていない時の電圧です。
KATOGM-3.jpgKATOGM-3PWM負荷.jpg 
 これは、KATOのGM-3を接続した時のPWMの電圧波形です。
左は無負荷時で、モータにはフライホイールが付いていますが逆起電圧の電圧は低く、PWMのON時とOFF時の電圧がかなり違います。
右はモータに負荷をかけてほとんど回っていない時の電圧です。
posted by よしひろ at 16:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子工作

2022年06月01日

牽引力測定車作製2

牽引力測定のプログラムはとりあえず動くようになったので、測定車輛の製作に取りかかりました。
16.5mm用と12mm用を作製するつもりです。
元々は車輛は共用で、台車を取り替えれば良いと思っていたのですが、台車の枕梁の高さが異なっており、台車を変えると連結器の高さも調整する必要があるため、別々に作ることにしました。
牽引力測定車.jpg
測定車本体は木の板に台車を取付けたものです。
この板の上に回路基板を並べていく予定です。
この写真は16.5mmゲージ用です。
ロードセル.jpg
ロードセルはこのように取付けました。
ゆうえんこうじさんから教えていただいたこのサイトの作成例ではロードセルを斜めに置いて、カプラーに繋がったリンクを動かして力を伝える仕組みです。
カプラーから何かを介してセンサーに力を伝えるとなると、そのリンク等を動かすために負荷が発生し、測定誤差に繋がることが懸念されます。
特に小さな物においては、途中の機構の負荷が無視できない場合が多いと思います。
そこで、私は、直接連結器をロードセルに取付け、なるべく余計な仲介物を無くすようにしました。
レール上面からロードセル上面までは約42mmですので、客車等の中に収めてしまうことも可能かもしれません。

以前から使用している市販のフォースゲージを使用した牽引力測定車でもフォースゲージの入力部に連結器を付け、直接力が測定器に伝わるようにしています。
タグ:測定 牽引力
posted by よしひろ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子工作