2025年01月08日

歯車特性測定方法

3年ほど前にも書いたのですが、モータの測定方法について書いておきます。
今回の減速機の特性は、減速機の付いたモータとして測定を行いました。
特性測定b.jpg
写真のようにして回転数・トルク特性を測定しています。
フォースゲージをつり下げ、糸を付けて、モータに付いたプーリに巻き、プーリと糸の摩擦で負荷をかけます。
糸の下には錘をぶら下げます。
糸が上に上がる方向にモータを回転させ、その時のフォースゲージの値を読み取り、同時に非接触式回転数計で回転数を、電流計で電流を測定します。
ぶら下げた錘の重量(質量×重力)ーフォースゲージの値が実際にプーリにかかった力となります。
今回の場合は、プーリの直径を20mmにしましたしたので読み取った値がトルク(gfcm)となります。
錘を変えて何点か測定して、グラフを作成します。
測定には誤差がありますので、今回の場合は3回測定し、平均値をデータとしています。

この測定方法は、インターネットで探しても、小型モータの専門書を見てもほぼ出てこないのですが、私が勝手に考えたのではなく、私が勤務先(松下電器産業 精密モータ事業部)でモータの設計をするようになった時に教えてもらった方法で、事業部内では普通に使われていました。(当時はフォースゲージではなく、ばね秤を使用していました)
2022年の第21回国際鉄道模型コンベンションのクリニックにてモータの特性測定方法の解説がありましたが、ほぼ同じでした。(この方は、マブチモーターに勤務されていたそうです)

効率は、使用したモータ(maxon RE16S)の特性(実測)と、今回測定した歯車の出力から算出しました。
RE16特性.png
歯車の減速比と歯車出力の回転数から入力のモータの回転数が分かります。
モータの回転数が分かればその回転数でのモータの出力トルクが分かります。
モータの出力エネルギーは回転数×トルクに定数を掛け合わせた値となります。
一方の歯車の出力エネルギーも歯車出力の回転数×トルクに定数を掛け合わせた値となります。
したがって、歯車の効率は、歯車の出力エネルギー/モータの出力エネルギー×100(%)で算出しています。
タグ:効率 特性 摩擦
posted by よしひろ at 14:38| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

減速機の特性

高効率ギヤの使用例をいくつか見かけるようになりました。
どのようなものか興味を持ち、入手し、特性を測定してみました。
集電や、動輪の回転負荷等を避けて可能な限り減速機そのものの特性を見るために、車輛に組み込まずに、モータからの出力をギヤセットに繋ぎ、その出力軸の出力を測定することにしました。
比較のため、スパイクモデルのコースティングギャー(減速比2:30)とIMONの蒸機機関車用のギアボックス(減速比1:30)、安達の蒸機用ギアボックス(減速比1:30)も同等の条件で測定しました。
条件を揃えるため、どれも同じモータ(maxon RE16S 実測で無負荷回転数:約7400rpm、起動トルク:約5.2mNm)を使用しています。
結果は以下の通りです。
減速機特性b.png
高効率ギヤとモータを接続するジョイントは、推奨(?)の六角ナットを使用したものと、IMONのシリコーンチューブを使用したもので測定しました。
特性にある程度の差が出ることを期待していたのですが、ほとんど変りませんでした。
ただ、負荷トルクが大きくなるとシリコーンチューブの方は回転数の落ち方が大きくなっています。
もっとトルクの大きなモータを使用し、大きな負荷をかければ差が出てくるのではないかと推測します。
効率は、さすがに高効率ギヤを名乗るだけあって約70%の非常に高い値が出ました。
ここでいう効率は、歯車の出力エネルギーをモータの出力エネルギー(すなわち歯車への入力)で割った値です。
最大のトルク(回転数が0になるトルク)は減速比3:23(約1/7.67)にもかかわらず、減速比1:30のIMONの歯車に迫る値が出ています。
高効率であるが故の結果でしょう。
スパイクモデルのコースティングギャーは色々と問題点が指摘されていますが、それでも50%近い効率が出ており、それなりに優秀だと思います。
IMONのギアボックスには従来からの仕様(モジュールは0.3と少し細かい)のウォームギアが入っているので効率は期待していませんでしたが、効率20%以上となかなか優秀と思いました。(C11に組み込んでの機関車の効率は約9%でした)
安達の蒸機用ギアボックスは低トルクでは効率が悪いものの、高トルクではIMONのギアボックスよりも良い結果でした。
モータとの接続は同梱のゴムジョイントを使用しています。
歯車の回転負荷が大きめで、トルクの小さいときにその影響が大きく出ているように思えます。

2024/1/8 安達の歯車を追記
posted by よしひろ at 00:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 部品