dda40x氏のblogで高効率ギヤを小さなモータで使う事に関して、「犬に馬車を牽かせるようなもので云々」の記載があります。
私の考えと異なるところがありますので、ここで述べたいと思います。(自分の考えを纏めるためでもあります)
なお、あくまでも模型における負荷と速度低下についての比較の話で、どちらが良い悪いとか、実物と似ているか否かについては考慮していません。
今回の高効率ギヤはその名の通り、効率が高いことをうたっています。
効率とは本来は入力エネルギーと出力エネルギーの比です。
この場合、モータを含めた全体系での入出力になるでしょうから、回転数や負荷によって大きく変化し、かなりややこしくなります。
ここでは、歯車のトルクの伝達効率として考えます。
1のトルクを入力し、どれだけのトルク(減速比考慮)を出力できるかです。
効率とは本来は入力エネルギーと出力エネルギーの比です。
この場合、モータを含めた全体系での入出力になるでしょうから、回転数や負荷によって大きく変化し、かなりややこしくなります。
ここでは、歯車のトルクの伝達効率として考えます。
1のトルクを入力し、どれだけのトルク(減速比考慮)を出力できるかです。
伝達効率は負荷や速度に関係なく一定という前提です。
また、機関車の動輪回転負荷やカプリングの負荷等は無視します。
・電子制御による回転数の安定化
話が長くなりますので、始めに結論めいたものから書いておきます。
図は歯車の効率と減速比以外は全く同じものを使用した機関車の動輪から見た回転数と負荷の関係を描いたものです。
単なる一例ですので、数値は単なる目安です。(以下同様)

歯車の伝達効率が高く減速比が小さい場合、高い負荷には耐えられますが、回転数が速くなります。
回転数-負荷のグラフの傾きが大きいほど、負荷に対して回転数の変動が大きい事を示します。
減速比の小さい高効率ギヤを使用した場合は、同じモータを使用しても従来の高減速比低効率の歯車よりも負荷に対する回転数変動は大きくなります。
ここで、電子制御により回転数を調整した場合、高くなる回転数を抑えるだけですので、モータの出力エネルギーは減少します。
従来の高減速比低効率の歯車で使用しているのと同じモータを使用するなら、効率向上分のロスが減っているので、モータにかかる負担は同等か軽減されていると言えます。
ということで「犬に馬車を牽かせるようなもので云々」の比喩はいかがなものかと思います。
また、機関車の動輪回転負荷やカプリングの負荷等は無視します。
・電子制御による回転数の安定化
話が長くなりますので、始めに結論めいたものから書いておきます。
図は歯車の効率と減速比以外は全く同じものを使用した機関車の動輪から見た回転数と負荷の関係を描いたものです。
単なる一例ですので、数値は単なる目安です。(以下同様)

歯車の伝達効率が高く減速比が小さい場合、高い負荷には耐えられますが、回転数が速くなります。
回転数-負荷のグラフの傾きが大きいほど、負荷に対して回転数の変動が大きい事を示します。
減速比の小さい高効率ギヤを使用した場合は、同じモータを使用しても従来の高減速比低効率の歯車よりも負荷に対する回転数変動は大きくなります。
ここで、電子制御により回転数を調整した場合、高くなる回転数を抑えるだけですので、モータの出力エネルギーは減少します。
従来の高減速比低効率の歯車で使用しているのと同じモータを使用するなら、効率向上分のロスが減っているので、モータにかかる負担は同等か軽減されていると言えます。
ということで「犬に馬車を牽かせるようなもので云々」の比喩はいかがなものかと思います。
むしろ効率向上により犬の力でも牽ける馬車になったと言えるのではないでしょうか。
大きめのモータを使う事が望ましいのですが、物理的制約で小さいモータしか使えない場合は、電子制御による回転数の安定化も手段の一つであると思います。
大きめのモータを使う事が望ましいのですが、物理的制約で小さいモータしか使えない場合は、電子制御による回転数の安定化も手段の一つであると思います。
ただ、電子制御による回転数の安定化は(設計や設定によりますが)負荷に対する速度変化が極めて少ない事が多く、人によっては実物との乖離を嫌われるかもしれません。
以下は、歯車やモータの挙動はいくつもの要素が絡み合って分からなくなるので、特定の要素に限定して考えてみます。
以下は、歯車やモータの挙動はいくつもの要素が絡み合って分からなくなるので、特定の要素に限定して考えてみます。
・歯車の伝達効率
伝達効率のみに着目して考えます。

これから分かるのは、伝達効率が上がると負荷に対して回転数が変動しにくくなります。
実際には動輪やカプリング等の歯車に関係の無い負荷がありますので、無負荷時の回転数は効率が悪いほど低くなると推定されます。
・歯車の減速比

減速比以外は全く同じとしています。
減速比が小さいと対負荷変動率は大きくなります。
・歯車の効率と減速比の組み合わせ
効率の違いと減速比の違いを組み合わせるとこのようになります。

効率の良い歯車は大きな負荷に耐えられますが、回転数が高いという状況になります。
そのため、減速比が小さく効率の良い歯車は、減速比が大きく効率の悪い歯車と比べ、負荷に対する回転数の変動が大きくなります。
・電圧による回転数の調整
無負荷近辺の回転数をスケールに近い回転数にする方法としては、駆動電圧を下げる方法があります。
電圧を下げると下図のようになります。

印加電圧を変えても負荷に対する回転数の変動の絶対値は変わりません。
ある負荷がかかった時の無負荷時の回転数に対する変動比は印加電圧が低いほど顕著になります。
見た目の減速の体感は、変動比が影響しているのではないかと思います。
・電子回路による回転数調整
それでは、逆起電圧等でモータの回転数を測定し、電子的に回転数を調整した場合はどうなるのでしょうか。
これが最初に述べた結論で、有効に使えば良い結果が得られると期待されます。
なお、私はこの高効率ギヤ使用して実証実験等を行ったわけではなく、理屈だけですので、もしかしたら考え方に間違いがあるかもしれません。
コメント等でご指摘いただければと思います。
この意見はdda40x氏のblogへコメントを送れば良いと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私のPCからのコメントはブロックされていてエラーになります。他の手段で無理矢理送りつけても公開される事はないように思われます。
元々この高効率ギヤは1/48 32mmゲージ用に開発され、16.5mmゲージ用に転用されたもののようですので、小さいモータでの使用は想定されていなかったと思われます。
それゆえ、16.5mmゲージ用としては大きなモジュール(M0.6のはずM0.5らしい 2022/8/3修正)が使われています。
M0.4であれば、わずかですが減速比が大きくなり、もう少し小さなモータでも負荷による減速があまり問題にならなかったと思います。
1/80 や 1/87 16.5mmゲージでこの高効率ギヤを使用する場合は、できるだけ無負荷回転数が小さく、起動トルクの大きなモータを使用した方が負荷変動の点で扱いやすいと思います。
どうしても物理的に無理な場合は、電子制御による回転数安定化が選択肢の一つになるのかなと思います。
古き良き、V8 のアメ車をアメリカの国道で転がしてると、それはそれで気持ちが良いものです。でも、700kg もないくらいのライトウェイトカーを、4 気筒のエンジンで回して南ドイツあたりの山道を走るのもこれはこれで楽しいもんです。後者の性格をちょっとだけ引き継いでいるから、一時期はおおはやりだったダウンサイジングターボってのも、そういうのが好きな人にはそれなりに受け入れられました。でも、「大トルクのったり運転」が『正しい』と思う人からはボロクソ言われましたねぇ。だから、私は実はケーターハムの 660cc を買いたいんだけど、踏ん切りが付かない。(後、何年免許を持てるか、って考えたりするし、「軽自動車」にしてはちょっとお高いし。)
細かいところまで読む前にコメントしてしまってますが、中身はもう少しじっくり読ませていただきます。