以前、日本型1/87 12mmゲージの線路の規格は明確に決まっておらず、分岐器を作る際に試行錯誤で寸法を決めました。
現在は、線路の規格が決まっているのでその寸法に従って作れば良いのですが、整理のため、どのように寸法を決定するのかを書いてみたいと思います。
間違いがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。
間違いがありましたら、ご指摘いただければ幸いです。
現在、線路の規格が決まっていない13mmゲージを例に説明します。
線路と、輪軸の寸法は一対ですので双方について検討が必要です。
- 輪軸側の寸法
ただ、16.5mmゲージの輪軸を流用して13mmゲージに改軌した場合の寸法は規格がありませんので、皆さん試行錯誤で改造されています。
線路との関係で輪軸の寸法で重要なのはバックゲージ(B:Back to Back)、チェックゲージ(K:Ckeck Gauge)、車輪厚(N)あたりになります。
JM規格では、B=11.5(-0.2)、K=12(-0.2)、N=2(+0.1) ()内は公差
NMRAのHO準拠の寸法の16.5mmゲージ輪軸の場合は、N=2.8ですがそれ以外は決まっていません。
ここでは、チェックゲージをJM規格に合わせてK=12としておきます。
NMRAのHOの車輪のフランジ厚は0.76mm(max)ですので、B=12-0.76=11.24となります。
経験的に11.2〜11.3mmにされていることが多いので、おおむねチェックゲージを合わせることと一致します。
- 線路の寸法
ゲージ(G)は、13mmとすることに問題は無いと思いますが、分岐器の特にフログ部分の寸法に検討が必要です。
- F:フランジウェイ(Flangeway)
ノーズレールとウィングレールの隙間です。
この隙間に車輪が落ち込まないためには車輪幅の半分未満にする必要があります。 13mmゲージの場合JM規格では車輪厚が2mmですので、フランジウェイは1mm未満にする必要があります。 - S:スパン(Span)
ウィングレールとガードレールの間の距離です。
この間に左右の車輪が通るので、輪軸のバックゲージよりも小さくしておく必要があります。 13mmゲージの場合厚い車輪のバックゲージよりも狭くします。 - C:チェックゲージ(Check Gauge)
車輪が反対側へ割り込まないように輪軸のチェックゲージより大きくします。
以上から、13mmゲージで、NMRA HO輪軸改軌とJM規格双方が走れる分岐器のフログの寸法は、
F<1mm
S<11.2mm
C>12mm
を満足すれば良いと考えられます。
また、C=S+Fなので、仮にF=0.9、S=11.1とすれば、C=11.1+0.9=12 となりますが、Cに余裕がありません。
F=0.95、S=11.15とすればC=11.15+0.95=12.1mm 非常に公差が厳しいですが、数値上は何とか収まりそうです。
基本レールとガードレールの隙間は考慮していませんが、輪軸のフランジが通れば特に問題ありません。
基本レールとガードレールの隙間は考慮していませんが、輪軸のフランジが通れば特に問題ありません。
日本型12mmゲージも過去の経緯によりバックゲージが10.6mmと10.4mmの2種類があり、双方の輪軸の通る線路規格は公差の厳しいものとなってしまっています。
13mmゲージも車輪厚の異なる輪軸(実際にはフランジ幅の違いが問題)を通すには分岐器にかなりの精度が要求されるということになります。
現実には分岐角の大きな分岐器ならフランジウェイ(F)の値をもう少し大きくしても車輪の落ち込みはありませんので公差を緩くしても実用上の問題は無いと思います。
悩ましいですね。JMもバックゲージ11.2を含めるかどうか? ですが、推奨輪軸ですでに諦めているので、11.3〜11.5で行くことになりますね。問題は、プラ枕木での製造上の公差や経年変化の影響をどう見積もるか、でしょうか???
決定では無いではが、次の値が有力と考えています。
F=0.9〜1.0
S=11.2〜11.3(これはバックゲージ11.2救済の意図では無く公差・変化吸収の意図)
経年変化に就いては、縮む方向なのでしょうかね? だとすると、Sは狭くなるのでギリギリには出来ないし・・・
16.5mmからの改軌でもフランジの厚みは製品により異なると思うので、バックゲージよりもチェックゲージで規定した方が良いように思います。
チェックゲージの測定は面倒ですが。
篠原の枕木で使われていた樹脂材は経年変化で縮むようですね。
規格で製品の経年変化まで考慮し出すといつまで経っても決まらないような気がします。
ガードレールの位置を調整して、輪軸のチェックゲージに対応する分岐器にしますが、11.3〜11.5を通そうとすると、フランジ厚にもよりますが、理論上「ぶつかる」事になるため難儀です。
#6程度の小さな番手の分岐器で、フランジウェイが狭め(0.9程度)かつ横圧が低ければ(先輪などの復元はしないか弱め)、割り込みはほとんど発生しない事です。これに気を良くして、輪軸の寸法から算出されるチェックゲージと、分岐器のチェックゲージでの不整合(公差最大ではぶつかる)事を許容してでも、実用上問題が無い寸法にする可能性を排除していない状況です。すなわち、工場での公差次第かな、と考えているところです。もちろん、「13mmの推奨規格」輪軸が優先です。
経年変化は、二の次ですが、完全に無視も出来ないでしょうね。なんせ、旧来の篠原規格(ごく初期は違うかも)は、緩く作ってあるせいか、20年経過してもそれなりに「通過出来る」のですよ・・・困った事に。恐らく、社長が鉛筆なめなめ手加減したのでしょうね。恐るべし、です。
NMRAのRP25ではフィレットの終わりのところでフランジ厚を規定していますが、実際のところフィレットとフランジの境界なんてよく分かりません。
正確に測定できるノギスに加工する方法をご教示いただければ幸いです。
フランジウェイが充分に狭ければ、車輪とレールはほとんど平行になり、フランジも先が細くなっていることもあって、線路と輪軸のチェックゲージの不整合があってもおそらく割り込みは発生しないのではないかと思います。
さらに分岐器の番数が小さければ実用上もっと緩やかな規格値にできると思います。
十三クラブの線路は、薄い車輪を前提に作られていて、フランジウェイは0.8mmとかなり狭く作られているようですが、それでも、実際には厚い車輪で改軌したものも走った実績があるとも聞いています。
私個人的には線路と輪軸の規格というものは、できるだけ少ない前提条件で数値的に整合性が担保できるものと考えています。
規格内に収めることができれば脱線等の確率をかなり下げることができると思っています。
13mmゲージに興味があっても寸法が確定していないので作るのを躊躇されている方もいらっしゃるように思えますし、それなりの年齢の方が多い(1/87 12mmも同じですが)ので、皆さんが健康で工作できるうちにできるだけ早く規格が決まった方が良いのではないかと思います。
13mmゲージに関して私は部外者ですので、どうすべきとか言える立場ではありませんが、今回の寸法の検討で、薄車輪と厚車輪の共存は数値上は不可能ではないということをご理解いただければ幸いです。
まあ、寸法が確定していないのは、16.5mmもそう変わらない(例:篠原とKATOはかなり違う、輪軸も各社色々)のですが、13mmは輪軸だけ規格を制定しているので、目立つのでしょうね。
「薄車輪と厚車輪の共存は数値上は不可能ではない」これは、心強いです。私が試作したものや十三ラブの分岐器は、薄車輪と厚車輪を実用上問題無く走行出来ていますしね。
ぶっちゃけ、良く判らないです。
> NMRAのHOの車輪のフランジ厚は0.76mm(max)ですので、B=12-0.76=11.24となります。
とありますが、どこの NMRA 規格でしょうか??? 輪軸、車輪、線路の規格って、S-3 と S-4 しかないと思いますが、別世界の話? 少なくとも S-4 (S-3 の方は線路の規格だからまあ関係ない) には、フランジ厚は出てきませんよねぇ...
「NMRA の...」と書かれる時には、規格番号まで (可能であれば制定年も) 書いていただけると議論はしやすいかと思います。
フランジ幅と称するべきでしょうか。
楽しく拝見しております、初心者です。
スロー運転の様子や、ポイント自作キットのご購入、サージェントカプラーの記事、動画付きの運転会の様子など、
色々と面白い内容をどうもありがとうございます。
また、過日は別所で、柔らかいリード線についてお教えくださいましてありがとうございました。
ところで、2022年10月27日の記事のPWMコントローラですが、その後いかがでしょうか?まだお使いなのでしょうか?
それともKATOさんから最近出たPWMのコントローラなど別製品をお使いなのでしょうか?
じつは、私もコアレスモーターを持っており、これから換装する時にコアレスにしようかとも思っていますので、出来ましたら森井様がいまお使いのPWMコントローラをお教えいただけないでしょうか?
それ以外は、DC(平滑電圧)出力のコントローラを使用しています。
KATOのは使ったことがないので分かりません。
以前のカツミのはコアレスモータの機関車を上手く制御できませんでしたので、電圧の平滑用に大きめのインダクタンスを付けました。
実際に私が使用しているのは、前のblogに書いたとおり、秋月電子の「TB6612使用 Dual DCモータードライブキット」です。
これをショートブレーキのモードで使用しています。
ショートブレーキは発熱が多いからだめだという人もいますが、今のところ問題になったことはありません。
ご返事ありがとうございます。
森井様の作られたPWMコントローラーですと、車両が動き出す前のduty比3%くらいのところやその後動き出したあと、コアレスモーターから唸るような音が気になるレベルで聞こえるのでしょうか?
2023年10月14日の低速回転の動画では音声も入っているみたいでモーター音はとても静かですが、使われているパワーパックは2022年10月27日のPWMコントローラと少し外観がちがってみえます。こちらもお作りになられたPWMコントローラーでしょうか?
森井様の作られたコントローラーですとツマミを回すと、duty比0%から3%に飛んで、そのあと徐々に100%まで上がっていくのではないかと思うのですがちがいますでしょうか?
PWMの周波数が30kHzほどあるので、その周波数の音は私には聞こえません。
2023年10月14日の低速回転で使用しているのはPWMではなく、DCのコントローラです。
かなり前に作ったものです。
私の作ったPWMコントローラは既存のPWMコントローラのパルス出力を流用しているので、デューティは0%から数%に飛びます。
パルス発生装置を自作すれば0%〜100%迄連続的に変化できるのでしょうけど、面倒なので。。。
度々すみません。パワーパックなどのことで少し思慮しています。
以前、森井様がDCCはお辞めになられたとどこかで読んだ記憶があるののですが、
お辞めになられる前にはコアレスモーターを積んだ車両もDCCで問題なく制御できていらっしゃたのでしょうか?
DCCではPWM制御だったように記憶していますが、DCCのコマンドステーションとデコーダーはどちらの製品をお使いでしたでしょうか?
コマンドステーションは、DigitraxのChiefとLentzのSET90、永末システム事務所の赤い箱を持っています。(かなり古い製品です)
デコーダはDigitrax、Lentz、ZIMO、SoundTraxx 等色々使用しました。主にN用やZ用の小さいものを使用していました。
デコーダとモータの相性のようなものはあるみたいです。
お手数おかけしました。
参考にさせていただきます。