2023年09月06日

モータ不具合

D51蒸機機関車のモータが回らなくなったので確認してみました。
D51.jpg
D51蒸機機関車に取り付けていたモータです。
全然回らなくなりました。
モータ裏面.jpg
モータの後面です。
FAULHABER 1524T012Sと書かれています。

現在販売されているものは、1524T012SR
となっていて、何らかの改良等があると思われます。
モータ中身.jpg
ロータを抜いたところです。
磁石のめっきにひび割れが見えます。
ロータを入れて回すと引っかかりがあるのですが、この状態ではどこで引っかかっているのか分かりません。
モータ磁石.jpg
外からでは分からないので、外ヨークを切断し、磁石を取り出してみました。
磁石の側面のめっきが割れていました。
このめっきの割れがロータに当たって回転を妨げていたようです。
以前にも使用していないモータの磁石が錆びて回らなくなっていましたが、同様の現象が機関車に組み込んだものでも発生していました。

モータブラシ.jpg
ブラシも見ておきました。
特に異常は無いですが、油が少し固まっているようにも見えました。
posted by よしひろ at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

2021年12月01日

KATOスロットレスモータ3

万力で磁気回路を補填することでモータの特性が改善されたので、外ヨークを付けてみたらどうなるか確認しました。
手元にあったΦ15の鉄の丸棒を削って外ヨークを作りました。
外ヨーク付.jpgΦ15の鉄の棒にモータに合うように丸穴を開けて外ヨークにしました。
KATO GM3スロットレスST特性3.png
万力で磁気回路を補填したよりも特性が良くなりました。
このことから、KATOのスロットレスモータの外側の鉄板は薄すぎるのではないかということが結論づけられると思います。
posted by よしひろ at 23:15| Comment(1) | TrackBack(0) | モータ

KATOスロットレスモータ2

KATOのスロットレスモータの特性が芳しくありませんでしたが、外側の鉄板が薄く、磁気回路の問題もあると考えました。
特性測定の際に、磁気回路への影響を考慮し、木材を間に挟んで万力で固定していましたが、磁石の両側を直接万力で挟んでみました。
万力1.jpg万力.jpg左がモータの磁気回路に影響が出ないようにするための固定方法。右が万力の鉄部分でも磁気回路を形成するようにした固定方法。
KATO GM3スロットレスST特性2.png
 モータの特性を測定すると、万力で磁気回路を形成した方は、GM-3モータよりもトルクによる回転数の変化が少なくなります。
一般的にトルクによる回転数の変化が少ないほど性能が優れていると考えられます。
回転数は、巻き線仕様で変えることができます。
おそらく、KATOのスロットレスモータの外側の鉄板が薄すぎて磁石の性能を生かし切れていないのではないかと思います。
鉄板を厚くし、磁石を薄くした方が性能が良くなるように思います。
posted by よしひろ at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

KATOスロットレスモータ

KATOのスロットレスモータを入手しましたので、どのようなものか確認しました。
既に9mmゲージでモータの換装をされている方のレポートが出ていて好結果が得られているようです。
比較.jpg
従来のGM-3モータとの比較です。
右がスロットレスモータです。
磁石はかなり厚いものが使用されていて、強力です。
近くに鉄等の磁性体はあると、強くくっついてしまいます。
ただ、モータ外側の鉄板がかなり薄く、物理的な強度が弱いです。
また、外側の鉄板はモータとしての磁気回路の一部のはずで、より強力な磁石を使用して、薄い磁性体にしたために磁気飽和を起こさないのか気になります。
磁石の側面を鉄板が被っているのも気になります。
コギングは全くありません。
スロットレス.jpg
外側の鉄板が弱いので、簡単に分解できてしまいます。
また、何故かGM-3と比べてフライホイールの圧入が弱く、途中までは手で力を加えただけで動き、プーリ抜きを使用せずに抜けてしまいました。
このモータは、GM-3と同様、3極モータです。
KATO GM3スロットレス電圧特性.png
電圧ー回転数特性を測定しました。
GM-3モータとさほど変わらないようです。
KATO GM3スロットレスST特性.png
回転数ートルク特性を測定しました。
期待に反して、スロットレスモータはモータとしての特性が一番悪いという結果でした。
測定結果が良くなかったので、もう一個測定しましたが、左グラフの通り、同じような結果でした。
スロットレスモータには大いに期待していたのですが、大きく強力な磁石を使用しているにもかかわらず、トルク特性が従来よりも悪く、期待外れでした。
もし、スロットレスモータではこの程度の特性しか出せないのであれば、過去にあったとされるスロットレスモータが消滅していったのも頷けます。
また、外側の鉄板の薄さについても、設計に疑問を持ちました。
外側から指で力を加えると簡単に歪んでしまうのは、いかがなものかと思います。
タグ:測定 巻線
posted by よしひろ at 15:40| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

2021年11月08日

KATO GM-3モータ

KATOのストロットレスモータを11月中に入手できそうです。
スロットレスモータを評価するにあたり、その比較としてGM-3モータの特性を測定してみました。
KATO-GM3モータ.jpg
KATOのGM-3モータです。
電車用と新幹線用があります。
見た目は同じですが、おそらく巻き線仕様が違うと思われます。
回転子は3極で、スキューが付いています。
コギングはほとんど感じられず、手で回すと比較的スムーズでした。
ロータを外部から回すのに必要な力は、0.3〜2gfcmでばらつきはありました。
磁石は、その色からネオジム磁石ではないかと推定します。
モータ自体の外形は実測で、長さ21.5mm、幅11.5mm、高さ7.6mmでした。
KATO GM3電圧特性.png
電圧を2V〜12Vに変化させた時の無負荷回転数の変化のグラフです。
無負荷回転時の電流も描いています。
電車用GM-3の片軸と両軸で若干測定値に差がありますが、測定誤差と固体毎のばらつきの双方が考えられます。
新幹線用は12V時に30000rpm程度の高速仕様になっているようです。
無負荷回転数のグラフを直線補完し回転数0とクロスするあたりを確認すると約1Vとなります。
無回転状態から、回転し始める電圧を測定すると約1.5Vでした。
 KATO GM3ST特性.png
GM-3モータの12V印加時における回転数・トルク特性を測定しました。
永久磁石付の直流モータは、理論上は回転数・トルクは直線状に変化することになっています。
実際のところは高速回転時には回転子のコアに渦電流が流れる等のロスが発生し、回転数が低めになることはよくあります。
モータの特性自体は、この大きさのモータとしてはそれほど優秀というわけでもなさそうです。
モータ特性測定.jpg
写真のようにして回転数・トルク特性を測定しています。
フォースゲージをつり下げ、糸を付けて、モータに付いたプーリに巻きます。
糸の下には錘をぶら下げます。
糸が上に上がる方向にモータを回転させ、その時のフォースゲージの値を読み取り、同時に非接触式回転数計で回転数を、電流計で電流を測定します。
ぶら下げた錘の重量(質量×重力)ーフォースゲージの値が実際にプーリにかかった力となります。
今回の場合は、プーリの直径が8mmでしたので、直径20mmに換算したものがトルクとなります。
錘を変えて何点か測定して、グラフを作成します。
モータはバイスで固定していますが、モータの磁束がバイスに流れないように木製の治具を作って押えるようにしています。
プーリ切削.jpg
GM-3モータにはフライホイールが付いているので、それをトルク測定用のプーリとして使用することを考えましたが、糸が滑って前後に外れてしまうため、測定用の溝を付けました。
この溝の直径を8mmとしています。
タグ:モータ
posted by よしひろ at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

2021年09月07日

KATOスロットレスモータ

最近、KATOからスロットレスモータというものが発表されたようです。
私はTwitterで掲載された写真しか見たことがないのですが、従来と全く違う構造のDCモータで興味があります。
KATOの特許を探してみたのですが、見つかりませんでした。
私なりに構造を想像してみました。
スロットレス.png
・従来のコア付モータと同じところ
  1. 永久磁石が外側にある。
  2. 内ヨークは珪素鋼板(?)の積層鉄心で、回転する。
  3. 軸受、ブラシ・整流子のあたりは従来と同じ。
・従来のコア付モータと違うところ
  1. 内ヨークの鉄心は円筒形で、従来のコア付モータのような凸凹(スロット)がない。
    →コアレスモータのようにコギングが発生しない
    →コギングを気にする必要が無いので強い磁石が使える
    →鉄心はあるのでロータ回転時に渦電流によるロスはある
  2. 巻き線は、コアレスモータのような感じのものが内ヨークの鉄心の表面に巻いてある。
    →コアレスモータのように巻き線だけで精度を出す必要が無いので作りやすい。
    →磁石とヨーク(本モータは内ヨーク、コアレスは外ヨーク)との空隙を小さくできるので、磁石の磁束密度が上がることが期待できる。
本当にこのような構造になるかは現物が出てみないと分かりませんが、非常に期待できるモータだと思います。
タグ:モータ 巻線
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2019年10月03日

コアレスモータ


faulhaber.JPGDSC02955.JPG
回らなくなったFaulhaber 1524Sコアレスモータですが、分解してみました。
裏蓋が取れないので、金具の部分を糸鋸で切断しました。
ロータは見えるようになったのですが、抜けないので、軸をハンマーで叩いたところ、ロータ(巻き線)が残って、軸と整流子の部分が抜けました。
軸と軸受は固着しておらず、全く問題ありませんでした。
ロータが、磁石にくっついてしまっているらしく、全く動きません。
ピンセットでロータを回したり、引き出そうとしたりしても全く動きませんでした。
なんとかして、ロータを取り出したのですが、磁石の回りから写真の右側のものが出てきました。
これは、磁石のめっきが剥がれたものと思われます。
理由はよく分かりませんが、ロータの外側も黒くなっていています。
ネオジム磁石は、表面のめっき処理が悪いと高温多湿で放置すると錆びることがあります。
磁石がめっきの下で錆びて、膨らんで、ロータにくっついてしまったのではないかと推測しています。
タグ:モータ
posted by よしひろ at 13:26| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

2019年09月27日

コアレスモータ

faulhaber.JPG久しぶりにモータを出して回してみました。
写真のはFaulhaberのφ15のコアレスモータなのですが、4個中3個が異常になっていました。
2個は、軸が全く回りません。万力やペンチにくわえて回そうとしても回りませんでした。
1個は、回るようになったものの、無負荷で0.1A以上も流れます。(正常なものは、0.01A以下)
Faulhaberのコアレスモータでも、もっと古いものに異常はありませんでした。

MaxonのRE16も同時に購入した十数個が、回りが悪くなった事があります。
このときは、少し回してやると復活しました。
新しいロットのRE16はそのようなことは発生していません。

ロットにもよるのでしょうが、数年間回さずに放置しただけで軸が固まって回らなくなることもあるということですね。
模型店で売れ残ったモータの軸が固まっていることもあり得るので、少し懸念されます。
posted by よしひろ at 14:20| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ

2011年11月20日

コアレスモータ比較

あるところから中国製のモータ(メーカ不詳 Φ16 長さ27mm)を貰ったので、maxonのRE16(長さ22mm)とUNOのUHM5050ib(Φ16 長さ16mm IMONコアレスモータ1616S同等品)と比較してみました。
中国製のは、無負荷回転数:約8800rpm、起動トルク:約135gfcm、無負荷電流:約18mA
maxonRE16は、無負荷回転数:約8100rpm、起動トルク:約50gfcm、無負荷電流:約2mA
UNO UHM5050ibは、無負荷回転数:約9700rpm、起動トルク:約100gfcm、無負荷電流:約5mA
です。
中国製のは、かなり磁束が漏れているようで、近くに鉄製のM2のねじを置くと引き寄せられます。
maxonのやUNOのはねじはくっつきません。
中国製のは無負荷電流が大きいですが、軸受けの問題なのか、シャフトを手で回しても重いです。

分解して中を見てみました。

ロータ.jpgロータの写真です。
UNOの巻き線は非常に特殊で、磁石の前後も巻かれていて、ロータだけ取り出すことはできません。綺麗に整列巻きされています。
特開2004−201387の特許をベースに作られています。
ロータ外径は、約13.0mmです。

maxonのは同社独自(maxonから技術導入したキヤノンも同じ)の巻き方です。
巻き線が「く」の字状に巻かれています。
ロータ外径は、約12.5mmです。
ロータのカップの深さは約10.7mmあります。

中国製のは、maxonの巻き方に似ていますが、中央部が真っ直ぐになっています。
ロータ外径は、約13.5mmです。 
ロータのカップの深さは約16mmあります。
中国製のは、maxonのよりも外寸で5mm長いので、maxonと同じ長さにしたら、ロータのカップの深さは約11mmでmaxon製と似たような寸法になります。
単純計算すれば、maxonのと同寸にすると、無負荷回転数は、13000rpm位、起動トルクは90gfcm位になると思われます。
巻き線仕様を変えて無負荷回転数をmaxonに合わせて8100rpmにすると、起動トルクは55gfcm位になり、ほぼ同等かちょっと上の性能になると思われます。

シャフトは、UNO製だけ非磁性で磁石にくっつきません。

ブラシ.jpgブラシの写真です。
UNOのは直角に付いています。
maxonのブラシの材質は金でしょうか。

UNOとmaxonのブラシは「く」状に曲げてあるのに対し、中国製のは真っ直ぐで短いためかブラシが固く、ブラシ圧が強いようです。そのせいか、3個のモータの中で回転音が一番うるさいです。

ステータ.jpg ステータです。コアレスモータの場合、外側の円筒はモータのケースとしての機能のみではなく、磁気回路を形成するヨークとしての機能も持っています。

UNO製は、厚さ約1.15mmです。
maxon製は、厚さ約1.4mmです。
中国製のは、厚さ約1.0mmです。

中国製のは外ヨークが薄すぎるため、磁束が漏れてしまっているようです。
UNO製も中国製のに比べてそれほど厚くありませんが、周辺の鉄材を引きつけるほどの磁束の漏れはありませんから、磁気性能の良い材質を使用しているのかもしれません。

今回の中国製のは磁束漏れが大きいですが、鉄道模型の場合は特に大きな問題はありません。
中国の政策で磁石の材料であるネオジウムの価格が高騰していますが、中国国内で生産されるモータに使う場合は従来の価格で入手できるようで、このモータもかなり安価に入手できるようです。

posted by よしひろ at 12:20| Comment(0) | TrackBack(0) | モータ