2022年06月13日

ロックタイトの劣化2

ロックタイト嫌気性接着剤の件でちょっと調べてみたら、次のことが分かりました。
  • 保管場所は冷蔵庫が適当
ロックタイト601等のテクニカルデータシートには、 最適保管温度8℃-21℃ 8℃以下又は28℃以上で保管すると製品特性に影響を与える恐れがあります。
と書いてあり、この温度を維持するには冷蔵庫に入れるのが最適と思われます。
  • 寿命は24ヶ月
公式に何年持ちますといったことが明示されている資料を見たわけではありませんが、製造後未開封で24ヶ月(2年)が使用期限のようです。
最近のパッケージには期限または製造年月が記載されていますので、これで判断できます。
開封した後はすぐに使ってくださいというのがメーカ側の見解のようです。
何年経っても接着できるのかもしれませんが、接着力が弱くなっていたりしてもメーカは関知しないということになります。
  • 少し温度を上げると接着力が向上する(かもしれない)
ロックタイト648のテクニカルデータシートを見ると22℃よりも40℃で硬化させた方が強度が上がるようです。
601ですと、40℃に上げた方が22℃よりも早く硬化するようです。
  • 分解は250℃で
テクニカルデータシートに公式に「結合部を約250°Cに局部加熱し、熱いうちに分解して下さい。」との記述があります。
ただ、200℃程度まで温度を上げると劣化し、接着力がかなり弱くなるようです。
  • 固まらなくなることがある
私はロックタイト嫌気性接着剤が固まらないという経験が何度もあります。
インターネットで検索すると固まらなくなったという報告はいくつか上がっているので、私だけの経験というわけでもなさそうです。
基本は使用期限内で冷蔵庫等の適度な温度の場所で保管し、開けたらすぐに使い切る。
ということなんでしょうけど、一度に1mlも使わないでしょうから、捨てるのももったいないですし、とりあえず固まるれば、何年経っていても使ってしまいますよね。
瞬間接着剤みたいに2ml入とかのが販売されると良いのですけどね。
posted by よしひろ at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 接着

2022年06月11日

ロックタイトの劣化

dda40x氏のblogやそのコメントに興味深い話が書かれていました。
ロックタイト(嫌気性接着剤のことと思われる)の劣化は、金属粉が入ることの旨が記載されていました。
確かにロックタイト嫌気性接着剤は金属に反応し、空気が遮断されると固まりますのでもっともな話です。
このblogでは、「実際に起きたことなのだろうが、条件がすべて異なるので、参考にはならない。」と書かれているので、私の経験は参考にならないかもしれませんが、一応書いておきます。

私は40年以上前に仕事でロックタイト嫌気性接着剤を使い始め、今は趣味の工作で使用しています。
容器に入ったロックタイト嫌気性接着剤が固まった経験は一度もありません。
尤も、容器の口の部分で残った接着剤が固まったことはあります。
瞬間接着剤は何度も容器の中身全体が固まったことはあります。

仕事で使用している時から経験した不具合は、ロックタイト嫌気性接着剤がいつまでたっても固まらないということです。
何度も経験しています。
いつ、どのようなタイミングで発生するのか、その原因は何なのか一切不明なので、避けることができません。
容器内の接着剤が固まるとかですと事前に不具合が分かりますが、普段と変わりない状態で固まらなくなるというのは困りものです。
ただ、この経験があるのはロックタイト601だけなので、不具合の発生を避けるため、601はなるべく使用しないようにしています。(一応持ってはいます)
私はサイエンティストではありませんので、科学的根拠よりも実際に発生したことを重視しています。

あと、このblogでは、「模型用なら200番台で十分だ。」と書かれていてロックタイトの200番台を推奨されているように見えます。
理由が書かれていないので200番台を薦める意図が不明です。
600番台ははめあいの固着用、200番台はねじの固着用となっていますが、確かに263等の高強度タイプであればはめ合いの接着に使用しても問題はないと思います。
しかし、222の低強度タイプを使用すると割と簡単に外れると思いますので、この書き方で大丈夫なのか疑問が残ります。
私は後で取り外す治具の仮固定にロックタイト222を使用しています。
また、価格は、私が見たところでは、10ml入が263よりも601や648の方が安いのでわざわざ200番台を使う必要があるのか疑問です。

とりあえず、ロックタイト601に金属粉が入るとどうなるのか確認してみました。
半日程度では金属粉の周囲しか固まりませんでしたが、全体的に変色しており、何らかの劣化があると思われます。
601.jpg今回の実験用に新規にロックタイト601の10ml入を購入しました。
金属粉.jpgチャック付ポリ袋に金属粉(主に真鍮)を入れました。
金属粉入601.jpg金属粉の入ったチャック付ポリ袋にロックタイト601を入れ、チャックを閉じました。
金属粉入601半日後.jpg
半日経過したものです。
金属粉の周囲は固まっています。
 金属粉入601半日後2.jpg
チャックを開けて液体を出してみました。
おそらく半分以上は固まらずに液体のままの状態でした。

固まらなかった液体が劣化して固まらなくなっている可能性もあるので、真鍮板同士をくっつけて見ましたが、すぐに接着されました。
 劣化.jpg
左が金属粉が入って固まらなかったところ
右が容器から出したばかりのもの
金属粉が入ったものは半日では全部固まるということはありませんでしたが、全体的に変色していますので、何らかの劣化は発生しているようです。
posted by よしひろ at 01:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 接着

2021年06月28日

プラ(ABS)の接着

プラスチック(ABS)製の台車のブレーキがあり、組み立てる必要があります。
普段、プラスチックを接着することが少なく、化学が苦手なので、どのような接着剤が適当なのか分からず、いくつか試してみました。
ブレーキ.jpg

ブレーキ組み立て.jpg
金型の都合で、梁とブレーキは別部品となっており、接着する必要があります。
梁の凹部にブレーキの凸部を入れることで仮組みはできます。
接着剤は流し込みができるものが望ましいです。

接着剤成分感想
田宮流し込み.jpg
酢酸ブチル
アセトン
付属の刷毛が適度の大きさで塗りやすく、接着強度も問題ありませんでした。
今回試した中で最も扱いやすかったです。
 アクリサンデー.jpg二塩化メチレン
接着強度は申し分ありません。
付属の注入器に接着剤を入れて接着剤を流すのですが、今回の接着では一滴でも量が多く、流れすぎてしまうという問題がありました。
面相筆等を使用する必要があるのかもしれません。
 ロックタイトプラスチック.jpg
アクリル樹脂
酢酸ブチル
アセトン
成分としてはタミヤセメント(流し込みタイプ)にアクリル樹脂が追加されたようなものです。
ちょっと粘度が高く、流し込むのはきついかもしれません。
接着強度は問題ありませんでした。
 ロックタイト瞬間接着剤.jpgシアノアクリレート
かなり粘度の小さい瞬間接着剤です。
接着強度は問題ありませんが、瞬間接着剤の常で、接着剤が指に付くとくっついてしまうので、扱いが面倒です。
 mrhobbysp.jpg
メチルエチルケトン
アセトン
酢酸エチル
接着強度は特に問題なさそうです。
ただ、タミヤセメント(流し込みタイプ)速乾とほぼ同じ成分のようなのですが、タミヤは速乾タイプをABSの接着に使えると言っていないのが気になります。(速乾でない方は公式にABSも接着可とのこと)

インターネットを検索するとこの接着剤がABSに使えるとしているところが多いのですが、ABSに使うと割れることがあると言っているところもあるのが気になります。
 タミヤABS用.jpg
 酢酸ビニル共重合体樹脂
アセトン
メチルイソブチルケトン
酢酸n-ブチル
シクロヘキサノン
ABS用と称する接着剤ですが、接着強度は低く、簡単に外れました。
粘度も高く、流し込みができません。
今回の件では使い物になりませんでした。
 リモネン.jpgD-リモネン
試験する前から結果は分かっていましたが、ABSに対して全く接着できませんでした。
posted by よしひろ at 17:29| Comment(1) | TrackBack(0) | 接着