牽引力測定車をKKC集会に持って行ったところ、いくつか指摘を受けました。
それをご紹介します。
・負荷測定用センサを取付けているアルミアングルの剛性が足りないのではないか。
市販のニュートンメータ(負荷測定器)の中にも本牽引力測定車と同じようなセンサが入っていますが、それを支える金具はずっと剛性のあるものが使用されています。
1/80クラスの車輛では、せいぜい牽引力は100gf程度なので、そこそこの剛性があれば良いという判断で加工性を優先し、厚さ1.5mmのアルミアングルを使用しています。
車体自体も木製ですので、さほど剛性は無いと思われます。
センサ自体は100gf測定用のものを使用しています。(信憑性はともかく、300gf程度までは計測できます)
もっと剛性を上げるべきなのか悩むところです。
・センサの出力の直線性に問題は無いのか。
センサは金属の歪みを検出し、力に換算しています。
今回のものは具体的には牽引力測定車を連結器を下にして負荷の無い時と50gの錘をぶら下げた時を測定して校正し、その間の値はセンサから伝わる電圧が直線的に変化するものとして計測しています。
牽引力測定車を水平に置いて、電源を入れると負荷0ということでゼロリセットするようにしてあります。
複数点で校正しているわけではありませんので、中間値のデータの信憑性は評価できていません。(デジタル秤に使用されるセンサですのである程度信用し、20gの錘で確認してもそれらしい値は取れているようですし、そこまでしていないと言うのが実情です)
・出発抵抗測定がうまく測定できない。
今回、KKC集会で16.5mmの牽引負荷を測定させていただく際に、急遽、列車の出発抵抗を測定したいと希望されました。
これまで、走り出してからの列車の負荷しか眼中になかったので、出発抵抗を測定したことはありませんでした。
単に列車を引っ張り出すと、連結器の隙間等のため、徐々に負荷が増えていくと思われ、出発時に負荷が大きくなるというのを捉えることは難しく、牽引している貨車を引っ張った状態で連結器の隙間が無くなるようにしてから機関車を出発させると出発抵抗らしきものが測定できたようでした。
ただ、出発後すぐに停止したりして、列車から押されるような形になり、負の負荷も計測されてしまったようです。
現地での慌ただしい中での想定外の計測は難しいものがあります。
ご指摘いただいたのは、今回のプログラムでは0.1秒に1回測定値をPCに送り、0.3秒に1回車輛のディスプレイ表示を更新していることで、測定周期が長く、出発抵抗測定を捉え切れていないのではないかということでした。
そこで、今回の回路で1秒間に320回測定できるのなら、1/320秒に1回計測し、マイコンのメモリに貯めておいて測定終了でデータを送ればどうかというご提案をいただきました。
センサの出力電圧は非常に小さくノイズの影響か、たまに変な値が出るので、今回のプログラムでは、20回データを取得して上位と下位それぞれ5個を破棄し、中間の10個のデータの平均値を測定データとしています。
データ取得後の後処理を楽にしたいためなのですが、そういったことは後処理でやれば良いとのご指摘でした。
今回のデータでも3000以上あるので、数十万個のデータとなるとPCの能力が向上しているとは言えちょっと気が引けます。
その他、この牽引力測定車は線路の勾配も測定できるのですが、加速度センサからの情報を計算しているせいか、走行中の傾きのデータは信頼性に乏しいという問題点も抱えています。
まだまだ不完全ではありますが、徐々に改善しながら色々な条件でデータの取得を積み重ねていきたいと思います。